4/25 いつつぼし @道頓堀ZAZA
今週のお題「私がブログを書く理由」
いつも見学している、毎週月曜日に行われる京都錦湯でのネオ落語セントラルは、中瀬さんが毎回ブログにレビューを書いてくださっているのだけど、そのお返しとして
今週は主宰者の月亭太遊氏がこちらに出演されるということで、自分は大阪に足を運び、感想を書くことにした。
今回が第一回目となる「いつつぼし」は桂優々氏が発起人、
米朝一門の彼が他の一門からそれぞれの若手実力者に声をかけた結果、結集されたのが
露の紫(露の五郎兵衛)
桂福丸(桂春団治)
桂華紋(桂文枝)
月亭太遊(月亭)
というバラエティ豊かな面々、客入りも第一回目にしては上々の入りの中、開演された。
トップは桂福丸「道具屋」京大卒のインテリでもある福丸氏は叔父の仕事の道具屋を手伝うアホを丁寧に描写していく。結果、便所の近くしか場所を確保できなかったという情景をありありを想像できる落語世界を描き切っていた
二人目は桂華紋「阿弥陀池」以前、天満の「噺カフェ」を訪れた時、店主に太鼓判を押された落語家、桂華紋氏。その言葉の通りのうまさ、笑いどころを外すこと無く、押出しだけではない、きっちりとお客さんに気を引きつける技術を五年目にして持っていた。自身の出身大学なども織り交ぜつつ、汗をかきつつの熱演。
中トリ三人目は月亭太遊「幻影百貨店(マーヤーデパート)」今回唯一の新作落語で、これをネタおろしした時は全然ウケなかったというエピソードを話しながらも、今回の席では笑いをかっさらっていった。太遊氏の落語は、突如話が概念的、抽象的なトーンに飛ぶというようなギャグが多いのだが、例えばそれは古典の途中に突然現代の話題や素に戻るといったギャグと反対方向のアプローチをとることがあるのだが、それがお客さんの年齢層やリテラシーによって反応に大きく差が出る。今回は爆笑をとっており、この席に来ているお客さんの良さを感じさせた。
休憩を挟んでモタレの四人目は露の紫「悋気の独楽」女性落語家は本来男芸である落語をするのは不利であると言われたりするのだが、それを逆に女性ならではの演じ方を探っている露の紫氏、「女の嫉妬」をテーマにして、やり過ぎるとどぎつくなってしまう世界を奥さんの可愛らしさを残しつつ、女中と奥さんの関係で家の中の女性の立場を描き出す。これは落語のフェミニズム読解かもしれない。いつか露の紫氏のやる「たちきれ」を見てみたい。
大トリの五人目は発起人、桂優々「くっしゃみ講釈」途中にあるのぞきからくりの口上から講釈師の語りまで、様々な語りの芸を要する話である。優々氏は主人公の直情的な阿呆をいきいきと演じ、やっている内に楽しくなっていくようなのぞきからくりの口上を披露、会場を明るくわっと沸かせた。
5人のネタをたっぷり聴いた二時間半、上方落語での若手実力派の揃い、それぞれが落語を通して向かう方向の違いを見せつつ、統一感もあるとても良い会だった。これはどんどん大きい会になっていくのでは。是非5回10回と大きくなった暁には、林家一門と笑福亭一門も加えて「ななつぼし」が開かれることを切に願う
鳥山明とジャンプシステムとその弁証法的解決
東大2年生(経済学部内定)の者です。周囲の優秀な友人と何もできない自分を比べ、惨めになってしまうことがよくあります。こんな自分を克服したいのですが、どのような処方箋が考えられ
Mr.サタンは鳥山氏の投影であり、初連載のDr.スランプの当初主役だったがすぐにその座を降ろされた則巻せんべえを引き継いでいた。ジャンプシステムそのものである孫悟空と共に戦うラストはそれ故感動的だった
2014/11/10 00:20
「NARUTO-ナルト-」完結記念、マンガ全700話とアニメ全220話を無料配信 -INTERNET Watch
とりあえずザブザ編までは傑作なので、そこまでは読むといいと思います
2014/11/10 10:03
NARUTO、おわっちゃいましたね。あと、僕らのヒーローアカデミア、かなり面白くなってきてて、相撲、ソーマもダレること無く、盤石だなあと。なぜか2日続けて週刊少年ジャンプ関係のはてブコメントがトップをとれたので、ドラゴンボールについての話をします。今回は鳥山明氏とジャンプシステム、それらの対立と弁証法的な解決まで。すげー流し書きなのですいません
鳥山明氏はデビュー作「Dr.スランプ」を連載する当初、則巻千兵衛という発明家に主題をあてて物語を始めるつもりだったような気がします。それは千兵衛自体が中年男性であり、作者である鳥山氏の心情を投影しやすかったということも意識しているでしょうし、モデリングをやっていた趣味人である氏を反映した「発明家」という職業(周りからちょっと白い目でみられるところなんかを含めて)でも明らかでしょう。当初、おそらく「Dr.スランプ」の初期プロットは「発明の天才が次々と作品を発明するが、自身の卑近な欲望に負けて失敗する」というようなものだったのだと思います。そういうエピソードが結構散見されますし、まあ一人ドラえもんとか、クリエイティブなこち亀みたいな路線。
しかし、そこから「ジャンプシステム」の介入によるストーリーの大幅な修正が加えられていきます。週刊少年ジャンプの、アンケートの評価が低ければ打ち切り、高ければ逆に終われないというシステムですね。それによって、千兵衛よりも第一話で作り出したアシスタントロボット「アラレ」の方に人気が高まっていることを知ると、編集長はそちらに視点を移したエピソードへの修正を支持していきます。(ちなみに私はこのシステムに対して「作者の意向を無視して行ってる」等といった批判にはまったく反対です。)結果的に、この路線は大当たりし、アニメ化した際には「Dr.スランプアラレちゃん」という、まさに主人公の立場を乗っ取ってしまいます。
しかしアラレちゃんは、ロボットで生まれたため内面を持っておりません。しかし強大なパワーを持ち、たくさんの友達を従える圧倒的な求心力をもって現れます。ちょうどこの強大なパワーと、我々を一体化させる力というのは、そのままアンケートという個々の声の集合意志が集まって物語を進めていく「システム」そのものとして読むことができます。(ちなみにこのアンケートシステムこそ、のちのAKB総選挙や果ては政治まで、日本における「民主主義」のプロトモデルになっているという話は、後に構想しているONE PIECE論をお待ちください)
そしてこの設定を、鳥山氏は次作である「ドラゴンボール」の主人公「孫悟空」に引き継がせます。孫悟空も同じように内面をもたず、しかし強いパワーをもち、仲間を増やしていきます。そして、彼は必殺技として「元気玉」という「全ての人にエネルギーを分け与えてもらい、それを集める」というまさに「アンケート投票」そのものの技を使います。
もちろん編集の指示もある中で、魅力的なストーリーとキャラを生み出した鳥山氏の天才的な才能は言うまでもありません。それまでのジャンプが持っていた絵柄を「原哲夫などの書き込みの多いキャラクターで実在感を出させる」ものと「キン肉マンのようなシンプルな線で子供が真似しやすいキャラ」と大きく二分するなら、2つのテーマをキャラをまず立体的なイメージで想定し、それをシンプルな線で描くことでシンプルさと質量を伴うという2つを高い水準で維持した彼の絵は、後のジャンプのひな形になっていくのですから。
では、そのシステム上を動いていく中で、千兵衛はどうしたのでしょうか。自分はこの則巻千兵衛を引き継いだキャラクターこそ、「ドラゴンボール」のミスター・サタンだと思います。サタンは当初、セル戦の噛ませ犬のために登場し、結果的に世界を救った救世主だと誤解されて栄誉を得ます。ちょうどこの点は「本当はシステム(悟空たち)が動いただけなのに(編集にいわれたまま書いてるだけなのに)、栄誉を得てしまっている」という鳥山明の心情と重なる状況を重ねられていきます。そして魔人ブウ編で「自分の飼い犬を攻撃されて激昂する」というシーンが登場します。これは前作Dr.スランプで、則巻千兵衛にあったエピソードをそのまま使い回ししたものです。
そして魔人ブウ最終戦、ベジータは悟空に元気玉を作ることを提案し、エネルギーを集めさせることを提案します。しかし、彼等のみでは地球の人々は賛同しない。彼等システムは内面を持たない以上、人に働きかけるものを持たないのです。しかし、そこに突如、ミスター・サタンの声が聞こえた瞬間、人類はサタンを応援し、元気玉は完成します。これはまさにサタンの持っていた(つまり鳥山氏を悩ませていた)「(空虚な)栄誉」こそが、最後の力となったことを示しています。こうすることで、鳥山氏は自身の抱えている問題をストーリーに組み込むことで解決しようとしたのです。
告知:11月24日に東京で行われる「文学フリマ」内の「invert vol.2」にて「少し暇そうにしているキャラを連れ出したい」というタイトルで寄稿しています。これは漫画の「キャラ」を中心にその脱物語性というものを「新井素子」「涼宮ハルヒ」「あまちゃん」などを題材に論じています。是非よろしくお願いします。

愛蔵版コミックス ドラゴンボール超全集〈1〉STORY & WORLD GUIDE
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オノマトペ大臣ディスコグラフィー(〜2013)
2014年1月4日朝、名古屋のクラブ「MAGO」でのイベント”ANTHEM”のライブをもって、オノマトペ大臣はライブ活動を休止しました。
そんなこともあって、ラストライブではdancinthruthenights(tofubeats+okadada)の二人が思い出を語るように「あんな曲、こんな曲もやった」と懐かしい楽曲なども多くがプレイされ、彼等の長い付き合いによる歴史というより、青春の記録のアルバムをめくるような、特別な時間のようでした。
今回はそれを契機として、現在までのオノマトペ大臣のディクコグラフィーを網羅してみようとおもい、作成してみました。「これが抜けてる!」とかがあれば指摘お願いします。(今、月影のランデブー思い出して追加しました)
アーティースト名 | アルバム名 | 楽曲名 | ||
オノマトペ大臣 | 街の踊り | S.U.B.urban | digital | 2011 |
サマースペシャル | digital | 2011 | ||
FRIDAY NEW ONE | digital | 2011 | ||
Sense Of Wonder | digital | 2011 | ||
CITY SONG | digital | 2011 | ||
S.U.B.urban(tofubeats letter from kobe remix) | digital | 2011 | ||
IF I FEEL BETTER (featuring Phoenix) | digital(bonus track) | 2012 | ||
Music Sounds Better with You (featuring Stardust) | digital(bonus track) | 2012 | ||
Lady (featuring Modjo) | digital(bonus track) | 2012 | ||
digital | ||||
オノマトペ大臣とイボンヌ | 独立した個性の宣言 | BPM190 | CDR(廃盤) | 2007 |
SKIT | ||||
Spring jam | ||||
sunday afternoon | ||||
WASSHOY | ||||
愛、大事な愛 | ||||
tofubeats feat.オノマトペ大臣 | move your body |
move your body feat,LAAOHHS |
bandcamp | 2009 |
Big shout it out(EP) | Big shout it out | digital | 2010 | |
University of Remix or FPM BOOT | Hey Ladies (tofubeats 正体不明remix) | CD | 2011 | |
マルチネラップコンピ | We Just Wanna Know | digital | 2011 | |
水星(EP) | 水星 | CD+digital | 2012 | |
lost decade | m3nt1on2u | CD+digital | 2013 | |
lost decade | シンセサイザーになっちゃうよ | digital(bonus track) | 2013 | |
PR0P0SE | S.T. | プロポーズ feat. choochoogatagoto | digital | 2012 |
テイク・ア・ライド | digital | 2012 | ||
LINER2(PR0P0SE edit) | digital | 2012 | ||
breath | digital | 2012 | ||
Just Tonight | digital | 2012 | ||
雨模様 | digital | 2012 | ||
Just Tonight feat. dancinthruthenights | digital | 2012 | ||
オノマトペ大臣&ナオヒロック | HOME WORK EP | City and Stars (Prod.by okadada) | digital | 2012 |
White Weekend (Prod.by asuka tanaka) | digital | 2012 | ||
Moonlight (Prod.by CAROLIECUT) | digital | 2012 | ||
White Weekend (Naked Instrumental Version) | digital | 2012 | ||
digital | ||||
鴨田潤 | 君の好きなバンド | 君の好きなバンド feat. オノマトペ大臣 ver. | LP | 2013 |
後外せない一曲として
Local Distance
https://soundcloud.com/dancinthruthenights/local-distance
Local Distance by dancinthruthenights on SoundCloud - Hear the world’s sounds
大臣、お疲れ様(Good JOB)!
今夜はブギー・バックの系譜学〜ささやかな補遺として
さて、今年ももう終わりに近づいて、年末にみなさんは山へ行ったりTJNYのライブに行ったりするんでしょうか。東京羨ましい。
そんな中、宇多田ヒカルがデビュー15周年を記念して、「First Love」のリマスター再発売が発表されました。
ナタリー - 宇多田「First Love」リマスター盤&UtadaライブiTS配信

First Love -15th Anniversary Edition- (期間限定生産盤)(DVD付)
- アーティスト: 宇多田ヒカル
- 出版社/メーカー: EMI Records Japan
- 発売日: 2014/03/10
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これでおそらくこのアルバムは日本のCDセールス史上初の1000万枚の大台を超えること必至という大事件は置いといても、個人的にはこの時に発表された5000枚限定でもはや品切れという、限定ボックスの内容について少し触れつつ、いままでtofubeatsについて書いていたところで自己補修しつつ弁解していこうかなと思いました。
まず、去年の水星の自分のコメントで「水星は10年台の『今夜はブギー・バックだ』」というのがありまして。
ここ、イチゼロ年代とかテン年代なのかは読者の裁量に任せるように数字で書いたんですが(笑)これが、自分がオリジナルというわけでもないとは思うんですけど、その後このフレーズが広まって、しかも変わっていて「21世紀のブギー・バック」と言われるようになってるんですね。(同じように七尾旅人とやけのはら「rollin' rollin'」も言われてるんですね)

- アーティスト: 七尾旅人×やけのはら
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- 発売日: 2009/09/16
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で、これは違うということをすくなくとも反論しておきたいということでちょうどこのリリースが重なって、かつ、去年書いた水星論での「小沢健二→宇多田ヒカル→tofubeatsのイメージパス」についての話も少し、このブギー・バックを軸に語れるんではないかなと。
蛇足ながら、デビュー当時はあまり明確化されていなかったが、宇多田ヒカル自体は非常に小沢健二の音楽スタイルを引き継いでいるという指摘があり、ここで小沢健二→宇多田ヒカル→tofubeatsというイメージパスが行われていると考えると非常に興味深いものがある
ここで触れていたいのは、この、99年における宇多田ヒカルのファーストライブのDVDで、この中で「今夜はブギー・バック」が歌われているんですね。
今夜はブギーバック(Luv Live Tokyo) - YouTube
おそらくこれが、94年にリリースされた時点でのスマッシュヒットし、後に「日本語ラップ初のヒット曲」ということになるこの曲がリバイバルされた最初の機会だろうなと。そういう話をしたいと思います。
この「日本語ラップ初のヒット曲」という言い方はもちろん嘘ではないとは思うのだけど、それはけっこう誇張された話であって、当時のオリコン・チャートでは最高15位でベストテン入りもしていなかったりします。
実はこの「ブギー・バックが初のヒップホップヒット曲」論というのは結構、その後の日本語ラップを語る人たちが生み出した歴史であって、当時は必ずしもそうは思われていなかったというのが自分の考えです。この説がなぜ生み出され、しかも支持されていったかというと、おそらくこの曲のことを意図的に消したいのかと思うのです。
East End × Yuri - Da.Yo.Ne - YouTube
EASTEND×YURIの「DA.YO.NE」は当時アルバムからのリカットシングルにもかかわらず、お茶の間レベルでヒットし、紅白歌合戦の出場まで勝ち取るまさに94年を代表するヒット曲になりました。おそらくヒット曲という意味ではこの曲が日本のヒップホップ史上初と言って良く、かつシングルとしては現在においても史上最高というセールスを記録しています。当初から「日本語ラップってダジャレみたい」と批判されることに対するコンプレックスも含め、この後「さんぴんCAMP」によって結実するハードコア化した日本語ラップシーンにおいて抑圧となり、この「ブギー・バック」説はかたや支持されて行ったのではないかという仮説を自分はとっていて、しかもその契機にこの99年における宇多田ヒカルのカバーがあると。
ちなみに、この「DA.YO.NE」は今聞いても非常によく出来た楽曲で、EASTEND自身も出自として真っ当にヒップホップを志向していたクルーの、遊び心のこもった曲が突如ヒットしたという事例のものです。むしろEASTENDはさんぴんCAMPのメンツよりであるあたりに、当時の音楽を語る場のねじれを感じたりもするのですが。この曲を、当時タモリが褒めていたりといったエピソードもあり、このなかば抑圧された楽曲の再評価もまた行われてはいます。例えばtofubeatsも彼のプロデュースしたリリカルスクール「リボンをギュッと」の中で、同じサンプルソースを思わせるフレーズを挟み込んだりしています。
lyrical school / リボンをきゅっと (MV) - YouTube
また、「タモリが褒めたから小沢健二は偉大だ」といったのは樋口毅宏ですが、それなら同じようにタモリが褒めたDA.YO.NEも同じように偉大なものとして称揚しなければいけないと思うのですが。
この当時の宇多田は、デビューシングルの「automatic」が「笑う犬の生活」EDに取り上げられ大ヒットしてから、アルバムが日本史上最高のセールスを記録することになるほどの社会現象となると同時に、「N.Y育ちの本場のR&B育ちの帰国子女」という、今のエヴァについて熱く語ったりtwitterをしている宇多田ヒカルのイメージから振り返るとちょっとハイプな売り出しをしていました。その是非はともかくそのような本場仕込みの歌手が「ブギー・バック」を取り上げたという事実は、一つの「本場の公認」として機能したと考えることは決して言い過ぎではないと思います。
そして一方で、「今夜はブギー・バック」はそれまで「小沢健二の代表曲」としても余り認知されていなかった、その後、95年を代表する名盤となる「LIFE」内においても今作は少し世界観がズレており、当時の小沢健二イメージとしても「ラブリー」や「愛し愛されて生きるのさ」またはTVCMで歌われた「カローラ2に乗って」というイメージが強く、ブギー・バックは彼のコラボレーションとしての違う顔というものでした。それ故、アーティストイメージに縛られない楽曲単体として取り出しやすく、後に多くのアーティストにカバーされることにもなるのですが。
(例えばよしもとよしともの「青い車」に置いて、小沢健二的なものを排除するという、名シーンがあるのですがその時に取り上げられていたのも「ラブリー」です。)
99年にライブで取り上げ、その年のうちに本家であるスチャダラパーとも共演、また、Hey!Hey!Hey!に出演した際にも本作を歌うなど、当時の彼女とブギー・バックは思った以上に密接な関係を持ちます。
そして、一方でその頃には小沢健二は楽曲をほとんど発表しなくなる沈黙期間に入り、単身N.Y.へ飛んで半ば隠居したような生活をします。(まるで現在の宇多田ヒカルのように!)そして、2002年にはN.Yで録音された、「eclectic」をリリースします。このアルバムの独自のR&B解釈というにはあまりに独自過ぎる、聴く度に背筋の寒くなるような印象はかつての小沢健二を期待していた層に驚きと戸惑いを持って受け取られましたが、そのアルバムの中に「ブギー・バック」のセルフカバーを含んでいたことに注目したいです。この、「ブギー・バック」カバーを小沢健二からのN.Y.への、そして宇多田ヒカルへのアンサーと捉えることも可能ではないか、というのが自分の見立てです。

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そして今作のアルバムの批評において、菊地成孔が宇多田ヒカルと小沢健二の相似的な部分を指摘していたりします。
(音楽の構造的にはどうですか?)
さっき平井堅といったけれども、単に作曲の構造だけ見れば、一番近いのは何と宇多田ヒカル。
(えええー?)
ホントホント。えーと、マイナー系の循環コードの上で、ラップに近いぐらいの字数の多い詞を、フェイクみたいな、自由気ままで難易度は高い、細かいメロディーに乗せて。という形式ね。
<『eclectic』を聴いて>「歌舞伎町のミッドナイトフットボール」所蔵

歌舞伎町のミッドナイト・フットボール -世界の9年間と、新宿コマ劇場裏の6日間- (小学館文庫)
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この時期、ヴィレッジヴァンガードがJASDAQに上場(2003年)し、ショッピングモールの中にオープンすることで都心以外の街にも広がり、「サブカル」というワードがそれまでと違う文脈で使用されていき、その文脈の中でブギー・バックは取り上げられ、広がっていきます。これはかつてのクラブシーンでもお茶の間とも少し違う場であることは、その後この曲をカバーしたアーティスト を羅列すればわかると思われます。そして、映画「モテキ」のエンディングにおいて主演の森山未來がカバーするに至って、この曲の「サブカルのアンセム」といったイメージは完全に定着します。
つまり、自分が言いたいのは、「今夜はブギー・バック」は90年台(20世紀)のヒットと言うよりは、ゼロ年代から21世紀に入ってからリバイバルの流れを受けた楽曲であるということです。おそらくこの楽曲が再評価された「サブカル」シーンこそ、95年、オウムと震災を経た日本で宮台真司が「終わりなき日常を生きろ」といった、自分のセンスによって消費を選択することで自分を他者と差異化し、平凡な日常をサヴァイブしていくという生き方の一つの現われだったかと思います。しかし、それらの選択も現在の若者の金離れによる消費低下、またヴィレバンの急拡大に伴う差異化の機能低下に伴い、サブカルというのは単なる話題を提供するツールの一つでしかなくなっていきます(映画版「モテキ」はまさにそのような消費による自己規定でがんじがらめになった主人公の物語です)そういった状況から、またその世界を突き崩すように現れたのが、tofubeatsであり水星であったというのは自分がもう何度も書いたことであるのでこれ以上語ることはないのですが、これをいままで言えなかった一連のtofubeats論のささやかな補遺としてここにおいておきます。またtofubeatsもメジャー契約し、次のステップに行くに連れて、また違う景色を自分たちに見せてくれると期待しながら。
remix:tofubeatsについてのささやかな覚書
tofubeatsがついに「don’t stop the music」でメジャーデビューした。
それに便乗して(というか最近はdj newtownのことを知らない人もたくさんいて、前日のヒストリーもかなり頻繁に見られているようだし)まあ再掲するのもいいかなということで、すでに三年前のテキストをupする。これはtofubeats君がmaltine record上で変名プロジェクトとして活動していたdj newtownについて書かれたエピソードです。
それを書くに至った自分のことについては、水星論(x):x=一人称を参照に
「あったはずのhometownと、あり得ないマルチエンディングに向けて」 神野龍一によるライナノーツ 2010/11/02
1990年生まれのtofubeatsくんは自分と5つ違いで、かつ同郷なんです。もちろんお互いは全然面識ないし、細かいところは全然違うけど。自分はいわゆるJR沿線でtofubeatsくんは地下鉄沿線(神戸および関西では、利用する電車でおおざっぱな文化層が分けられる)の住民だし、学校も全然違う。もちろん自分には才能ないし、あんまライナーで自己アピールするのもちょっと浅ましいよね。で、逆に共通だなあ、地元の人だなあと思っちゃうのが、彼が「KOBE」という言葉を発する時、そこにはあったはずの「神戸」と現実の「神戸」っていう街の二重性が表れてると思うんだよね。
gottosさんは1997と2005の接続について書いてたけど、自分はやっぱり神戸は1995の出来事の影響がめちゃくちゃでかかったと。tofubeatsくんはおそらく当時5歳なんで覚えてはいないと思うんだけど、その後のなりゆきだけでも十分で、あのときから神戸って街は「本来だったらありえた街」と「現在の街」というギャップにいつも苛まれることになった。これは何処だってそうだ俺の街だって、って言うかもしれないけど、「あの頃はよかった」っていうノスタルジーに回収されないで、あったはずの「現在」がそのまま並列された形で意識されてる街って当時(これは後述)ほとんどなかった。
多分tofubeatsくんもそうで、神戸に対して愛着と同時に「もうちょっとこうなはずだ」っていう願いもあると思うんだよね。一応オシャレな街といわれてるけど、ならもうちょっとアーバンにとか、独自文化があってもいいだろとか、せめてjetsetがなくならない程度にはクラブ文化があってくれよっていう現実とか。おそらく神戸住民のほとんどはそんな「あったはずの神戸」と現実を二重写しにして、多元的な、ある意味マルチエンディング的な想像力を働かせて過ごしていたし、現に今も過ごしている。
例えば同じ神戸出身者には、tofubeatsくんの9コ上には西尾維新がいて、その7つ上には清流院流水、さらに4つ上には涼宮ハルヒの谷川流がいる。って書いたら、なんか想像力のあり方の説明に、説得力がある気がしない?wで、彼らが出てきたのが、ちょうど日本全体が「失われた10年」なんて言われたりした頃で、全国的にこの「あり得たはずの国」みたいな多元的想像力を欲してた時期っていうのが、自分の見立てだったりする。(蛇足ながら自分はtofubeatsくんと西尾維新の間で、ちょうど神聖かまってちゃんと同い年。TSUTAYAでビートルズやセックスピストルズを借りて聞いた最初の方の世代w)
彼らは小説家だけど、tofubeatsくんは音楽の人で、それの違いっていうのはあるけど、イマジネーションで組み立てられる小説より、むしろ音楽はもっとリアルに届く力があると思う。tofubeatsくんのcutupの音の断面からはそんなあり得たはずの「神戸」の世界が見える。いや逆か、tofubeatsくんの音楽が、そのあり得たはずの世界の音楽で、それが現実の世界に届いていく、切り開く力を持って届くんだ。例えばアーバンとアイドルとアニメが並列してクールに語られる世界とか。そしてそれは現実化しつつあるように感じる。
http://maltinerecords.cs8.biz/58l.html
その後、ここに書いてある神聖かまってちゃんのの子。さんをfeatした曲ができるとはさすがに思いもしなかった。
そして、メジャーデビューまでにここから三年という期間がかかることも。それは、竹内正太郎氏が「lost decade」のレビューで書いたように、たしかに”ある意味では遅すぎ、ある意味では早すぎたというほかない”というものだった。
その一年後、dj newtownのプロジェクトが終了するにあたり、書かせてもらった文章がこちら。これ、いまmaltineのサイトでは見れなくなっているので再掲
dj newtown tribute に寄せて - 神野龍一 2011/12/29
前回、tofubeats を語るにあたって、95 年を軸に語ったので、今回はそれ以降の神戸と tofubeats 君についてのことを語ろうかな。 「神戸」と「ニュータウン」っていうと、以降の出来事の話で、えーと、本当色々あって。それが今の時代とどこまで関わっていて、
かつ自分と切り離すことができるのかっていうと正直心許ないんだけど、その後に起きたちょっと大きな事件のことを語りたいと 思う。 あの神戸の少年がなぜあんなことになってしまったのか、という理由は色々と語られて、マンガやらの影響とか家庭とか資質と か色々指摘されていたなかで、「ニュータウン在住」っていうのがあげられたりしたんだよね。計画された均質的で人工的な新興住 宅地では街の猥雑な部分がなくて、少年たちのなんかむしゃくしゃした欲望とかのはけ口がない、ベッドタウンでは社会と生活の 場が切り離されてよくない、とか云々。 で、そのために対策しようってことになって、中学生をしごと体験させて社会経験を積もうとか ( 対価もらえない労働かしごと になるかよ〜公務員 ) よくわかんないことが行われたりしたんだけど、 言いたいのは、「あの当時ニュータウンって言葉は決して肯定的な言葉ではなかった」ってことで、なんとなくそこには、人が息 づいて文化をつくっていく「街」とは一線を画すものがあった。まあ言ってしまえばはけ口というかアウトプットがなかった。イ ンプットは後に続々作られた TSUTAYA なんかが一応まかなってくれるけど、それもほっとけば棚に眠っているだけの棺桶みたいな ものだった。動く街に対して郊外は「止まった場所」だったし、いまもそれは変わらないだろうと思う。 でも、たからって郊外の人は止まっているわけじゃない。そういった場所でのはけ口がどこに向かったのかというと、それは確 かに郊外からは現れることがなかったけど、この時期にできた新しい2つの裂け目ー深夜の隙間に放送されたアニメ番組と、新し いメディアとしてでてきたインターネットーたったっていうことができると思うんだよね。そしてこの2つはこの後の日本の文化 を考える上で欠かせない要素になる。
もちろん tofubeats 君も、その文脈を受けて現れた。均質的な郊外で深夜にアニメをみたり、TSUTAYA で CD を漁ったりしながら 都会のダンスフロアを夢見る音楽。ただ tofubeats 君か行ったのは、「断層」にあった要素をもう一度「郊外の音楽」として提示し たこと。そうやって無機質な郊外の景色をほんの少しだけ変えた。 そう、ほんのちょっとだけ変えた。それは例えばかつてフロンクスの集合住宅団地に起こったような、日常や暴力闘争をパーティー にするような劇的な変化てはなかった。でもだからこそこの変化は重要で、この「ちょっと」はちょうどそれ「以前」と断層をつ くりながら、かつ連続して変化した。ちょうど、アニメのセル画のカット前後みたいに。そうすると、それまで止まっていた郊外 の景色が残像になり、「動き」が生まれた。それは jpg が mpg になるような変化、止まった画像が動き出すような変化だったんだ。 それはまだたった一瞬の、コンマ数秒の変化だったのかも知れない。そして tofubeatくん変名プロジェクトであったdj newtowns がいなくなった後も、この「ちょっとした変化」 を続けて、郊外に動きを与え続けていかなくちゃいけないんじゃないか。それが郊外の残像、そして tofubeats の残像に続いてい くために必要なことなんだ。
最後に、tofubeats ありがとう。君のおかげで、明日が今日のリプライズにならなくて済む。
http://maltinerecords.cs8.biz/103.html
いまやtofubeatsがメジャーな存在になり、ここで述べているような「地方の郊外のためのダンスミュージック」といったものからも変化しているし、もしかしたらイメージを引きずってしまうものかもしれない。(このインタビューはとても当時の雰囲気をよく伝えているように思う)例えば、最近のtofubeatsは特に、ここで述べられているような「生まれた頃の音楽」の憧憬へと近づいていることとか、あと最近の曲の構造の変化とか。ただ、こんな物語もありつつ、それがまた更新され、現在まで続き、また更新されていくのだろうと思う。その少し前の「残像」としてここに残しておく。
10曲でたどるtofubeatsヒストリー
メディアへの広告もなく、大手からのリリースでもない一人の地方在住の大学生の配信した楽曲「水星」が、iTMSで総合アルバムチャート1位という革命的な記録を残したのも記憶に新しいところ。そんな中、tofubeatsと言う名前をそこから知った方も多いと思います。そんな人のために彼の音楽活動のキーとなった楽曲を基に、簡単なプロフィールを作成しました。これはリリースの前々日にtwitterで書き連ねたものだったのをあらたに編集し直しupしました。「水星」自体のレビューはもうしばしお待ちを。(4/24日追記 書きました!こちら)
10曲でたどるtofubeatsヒストリー
tofubeatsは1990年(平成2年)神戸生まれのトラックメイカー。2003年、中学一年生の時に友人から聴かせてもらった「ブッダブランド/人間発電所」 を聴いたことがきっかけで音楽に目覚める。
最初ベースを始めるが挫折、しかしそこからDTMへ興味が移り、打ち込みで曲を作り、またラップをはじめる。最初のMCネームはibonne。2chの日本語ラップ板等で投稿を行う。
当時はTSUTAYAにあるフリーソウルなどのコンピレーションをレンタルし、サンプリングを行う。一方で初めて買ったCDはsoweluの1st Album「Geofu」当時からダンスよりの音楽が好きだったようだ。
2006年、高校時代からHIPHOPの体育会的な空気になじめなくなり、ダンス寄りに移行。イルリメと磯部涼のやっていたネットラジオでの投稿をきっかけに、盟友オノマトペ大臣と出会う。そして大臣の大学の学園祭でDJデビュー(当時の観客にマンガ家西村ツチカ氏もいた!)2人でアルバム「独立した個性の宣言」をリリース(現在廃盤)
2007年、イボンヌからtofubeatsに改名。17歳の時、最初の公式リミックスの依頼が来る。
それが柳田久美子 - 君のせいなんだ(TOFUBEATS SEVENTEEN REMIX)
perfumeの握手会に参加したことでアイドルに開眼。あふれる情熱で作ったマッシュアップ音源が注目を集め始める 。
UA + Perfume - Skirt no suna to Macaroni(KGS mashup)
2008年、高校三年で日本最大級のテクノ音楽フェス、WIREに初出演(最年少記録)またそのための楽曲作成を機に変名としてdj newtown名義でネットレーベルmaltine recordにおいて活動を始める。最初にリリースされたのは「Flying between stars(*she is a girl)」ランカ・リー「星間飛行」をカットアップしダンス仕様へeditした楽曲。彼のアニメとダンスミュージックの融合はimoutoid - ADEPRESSIVE CANNOT GOTO THECEREMONYと共にmaltine recordsのイメージを決定づけることになる。
また、ネット上にアップしたサイプレス上野とロベルト吉野 - Bay Dream 〜From課外授業〜(tofubeats remix)の評判が本人の耳に届き公式にアナログとしてリリース。これはタマフル内で2008年申し訳ベスト・ヒップホップソングとなり、後の出演の布石となる
そして高校時代の音源を集めたCDR「HIGH-SCHOOL OF REMIX」をリリース。
2009大学デビュー。念願の初の公式アイドル仕事を依頼される。それが今をときめくももいろクローバー「 ももいろパンチ」のremix(シングル「未来へススメ!」収録)
2010年、初のiTMS公式ソロリリースとなった tofubeats - BIG SHOUT IT OUT feat,Onomatope Daijinでダンスチャート1位を記録。また注目の新人としてタワーレコード発行bounceで取り上げられる(流通媒体においてインターネットをメインに活動しているアーティストを取り上げるのは非常に稀)
そしてマルチネ初のCDリリース作品「MP3 killed the CD star?」に「朝が来るまで終わることのないダンスを」を提供。この楽曲が後に様々な思いをもって変奏され、現在2012年verが無料ダウンロード可能となっている
朝が来るまで終わる事の無いダンスを(2012mix)
http://www.tofubeats.com/asadan2012.html
2011年、清純派HIP HOPアイドルユニット「tengal6」へシングル「プチャヘンザ!」を提供
そして2012年、2年前のdemo発表時から「クラシック」認定された「水星」が満を持してリリース!
こうやって見るとトーフ君ヒストリーは「インターネット」「アイドル」「hip hop」「神戸」「レコード(これが思いの外大きかった!)」って要素が複雑に絡まってて面白いですね。そしてこの要素を全部含んでるのが「水星」ですよみなさん!!!!!!是非聴いてください。これぞ10年代の「今夜はブギーバック」!
mixiレビュー1
2006年02月06日

- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/01/25
- メディア: 文庫
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あんまりネタバレはしたくないので突っ込んだことは書きたくないので内容は触れません
星氏の評価は生前は決して高いものではなかったように思う。ショートショート作家であったがために
短くて読みやすい、という点が子供向けととられ、幼稚な作風だという的外れな意見があったように思うからだ。
「ブランコの向こうで」の増刷や本書の復刊は新たな氏への評価へとつながっていることを感じさせる
2006年02月23日

- 作者: 舞城王太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/04/15
- メディア: 文庫
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文章が荒いし、めちゃくちゃだ。まあ勢いで読む今の人にはいいんだろうけど
ミステリーとしても、問題提示と次には解決してしまうし。忍耐力のない現代人向け。
あと、エモーションが過剰すぎる。まあ、今ドキの人にはこんくらいじゃないと伝わらないんだろうけど。
そんな脂っこくて塩分高め、粗雑なジャンクフードのような作品
これをおいしいと思うかどうかは自分次第。僕は大好き
2006年03月30日

- アーティスト: フトン
- 出版社/メーカー: エイベックス・マーケティング
- 発売日: 2005/10/12
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タイ人と日本人とイギリス人の男女ゲイヘテロ含むめちゃくちゃバンドのルックスが表すとおりの音楽の快楽刺激要素だけを集めたような音楽です。これがタイから出てきて日本発売がエイベックスってのも面白すぎる。元スウェードのドラム含めあらゆるものを取り込んでしまう暴力性と寛容性に満ちた、というか無秩序を無秩序のまま受け入れる上座部仏教的な素晴らしさ,ミラーボールのような反発の輝きに満ち満ちております。オススメ
満点でもいいのですが、新メンバーのかわいいベースの子がジャケに写ってないという不純な動機で一つ減点
2006年06月20日

- 作者: 星新一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1985/07/08
- メディア: 文庫
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小松左京いわく「凡人が一生に一つ名SSを書くことはある。しかし星新一はそれを数十個書いている」
これは逆説的に言うとその素人(後にプロになった人もいるけど)の一生に一度の会心を集めてます。正直、これ以降のシリーズでこれを上回る濃さはないかも
「愚か者の願い」「花火」「読むな」「帰郷」「奇数」がおすすめ
2006年07月27日

- アーティスト: Betty Davis
- 出版社/メーカー: Light in the Attic
- 発売日: 2007/05/15
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マイルスが壊れ、スライがイっちゃったのをよそに、女の人ってのはこんなファンキーなもんを作っちゃうのですよ。ああこわい
昨今ステージで腰を振っているような女の人を「エロカワ」なんぞいいますが
はたして腰を「振る」女と男に「振らせる」女では、どちらがエロといえるのか。ああこわい
2006年08月01日

- 作者: 久世光彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2000/06
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「小説のヒップホップやあ〜」と思ってしまった
といっても、決して登場人物がぶかぶかの服を着たり、ガソリンスタンドに火をつけに行く話などではなく
登場人物の祖母がDJの役割をしているということ
つまり、小説の中で小説を語り、小説内で小説の紹介をしているのだ。
これが、単なる批評として話と分裂せずに本筋とも絡みながら補足されているのである
本筋も非常に大人な味わいをもったストーリー
自分がこれを読んだのは一年前で折しもセカチュー&冬ソナのいわゆる「純愛」真っ最中のご時世。
自分はそんな現象を端で見ながら「なにが純愛だよ。あんなのプラトニックなんかじゃない。ただのグノーシスだ」なんてうそぶいていたのでした
大人になるのだって、きっと悪くないと思わせる一冊
2006年08月10日

- アーティスト: ステフ・ポケッツ
- 出版社/メーカー: handcuts Records
- 発売日: 2005/07/20
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見つけたら買った方がいいですよ。
ヒップホップを基調に
レゲエの寛容性(ボーカルが歌とラップを両方歌う。アメリカではこういう人はあまりいない)と確かな血統(ボブの娘!)
フィリーの豊かな音楽(この音質が、非常に日本の97年に似てる。つまり最高)
非常に乾いたラップの語り口に、ときおりメランコリックさを見せるメロディーに終始酔いつぶれること必死
AIもカバーした曲を含む。大名盤でございます
(ただ、AIのカバーは失敗であると思う。ラップにおけるこの曲の一番のフックである「ウラ拍だけをフロウする」という部分をなぞりきれていないからだ)
こういう多ジャンルにまたがるタイプのミュージシャンはアメリカではヒットを生みにくい中、日本で大きな評価を得た、ということはちょっと誇っていいと思う
2006年08月22日

- 作者: 菊地成孔
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/09
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もちろん文章が抜群に面白いということもあるけど
この人がただの理論的スノッブではなく、ダンスミュージックフリークであり、リズムに正直な本能的なところがあるから
やっぱり本能に即してない人はつまんないんですよね。
これは「全部元は性欲(リビドー)だ!」と言う主張をしたフロイトの信者、というところでも非常に共感します
2006年09月01日
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某サイトでこれを「ハードボイルド」と書いているサイトがあって。やっと「なるほど」と腑に落ちた作品
つまり一人の少女が家庭、クラス、友情最後は全てを「切り離す」ことを描いた映画なんだと思う
ほとんど観客さえ置いてけぼりなんですが、映画に感情移入を求める人には駄目なんだろうなあ
主人公の前段階が全く話されないのが凄い。
多分宮崎あおいの最高傑作。