ワンピースに学ぶ国家論

最近、one pieceが面白いですよね。
というと、大体同世代は「ドラゴンボールに比べたら〜」みたいなことを言い出して、泥仕合になるのが定番の流れですね。でもドラゴンボールだってそこまでたいした作品じゃないだろ。とか言うとやっぱり炎上するんだろうか

で、この作品というか、「海賊」というのがなんなのか、っていうのをわからない人が多くてけっこう違和感があったので、つらつら書いてみる。簡単に言うと、世界政府=海軍はいわゆる正義だと思っていて、海賊というのはそれに対するアンチヒーローだと思ってる人が多いのですね。なんで海軍がやってること否定できるの〜?海賊つかまえてなにが悪いの〜コビーのヘタレ!みたいなこと言う人がいるんですよ。でもそうじゃないんですよっていう話

大体アングロサクソン系の人には「祖先は海賊だった」というのを誇りにしていたりする人も多いのだけど、別に犯罪を誇っていたわけではなく、そもそも海というのは長い間ほとんど無法地帯だったわけです。というか今もと言ってもいいのか。国際法なんてほとんどおまけみたいなもんです。あれだけシーシェパードがむちゃくちゃやっても、あんな感じですから(まず通報しても来るのに数日かかるw)

そういう場所でもちろん自前の戦力が重要で、何をするにも暴力機関がものを言います。で、それをもってるところは、略奪やらもやる一方で、みかじめ料をとって場所を管理したりもします。それじゃヤクザ暴力団じゃん、というなかれ。国家というのも税金っていうみかじめをとって管理している軍や警察という暴力機関を独占保有しているところなので暴力団と大差ありません。というのは左翼的な国家論の基調ですね。でもその通りだと思います。

たとえば日本の場合鎌倉幕府ってのは武士っていう暴力機関がみかじめをとってやっていたのを、朝廷が認可を与えてから政府になったって流れがあり、ここらへん、国家の正当性ってどこにあるのかって話ですよね。当時はそれでも国家の管轄に収まらない場所が寺社勢力を中心に多くあり・・・ってのは網野氏の本でも読んでもらうとして

あとは地方のゴロツキだった奴らが、政府に認可されて京都の取り締まりを行うって機関も幕末にはありましたね。新撰組っていう田舎モノの集まりで、結局血の気の多い成り上がりばっかりが内ゲバで空中分解した集団が、ってこれは怒られそうだwこれはone pieceでいうと七武海くらいにあたるポジションか

つまり言いたいのは結局圧倒的に暴力を持ってるのが重要で、どう振る舞うかってだけで立場とかはあんま関係ないよ、というか政府だから絶対に善ではないんですよってことなのです。海賊ってのも、私兵というか、そういう感じで見てくれれば

わりとジャンプってイズムとしては国家主義的な、というか本宮ひろしイズムが浸透しているので、国家に対してはわりと親和的な距離感のものがおおいのだけど、けっこうワンピースはそこら辺と距離をとっているのが面白いですね、っていう(だからって民兵とかいってヤクザを肯定するような奴は問題外ですが)

そのことを考えないと、アメリカ人がなぜ銃の所持をあそこまで執拗にこだわるのか(いざというとき、政府と戦うため)とか、ヒーローがなぜ正体を明かさないのか(彼ら自身、私刑を行っている自警なので、それ自身犯罪者でもあるのです)とかの意味がわからなくなっちゃうんですね。去年はダークナイトとウォッチメンという、ビジランテものの超傑作を見てて、善ってのもよくわかんないな〜とおもったのです。正義っつうのも、ロールズよんでもよくわからんし。まあ国家ってのも一つの独立した利益集団で、個人と集団の延長や、国民の総意とかでもなんでもない。基本的には利害関係が一致してる個人を代表者として消極的に送り込むことしかできないってくらいのもんです。国が無償でベーシックインカムを8万一括で個人支給なんてしてくれるわけないよっていう話です。